今日は内房線に乗って、一人で千倉という地域まで行きました。千倉は私が住んでいる岩井と同じ南房総市とはいえ、間に山を挟んでだいぶ距離があります。しかも岩井は東京湾に面しているのに対して、千倉は太平洋に向かった外房地域で、この接する海の違いはかなり大きなものだと実感します。
誰もいない太平洋の海を一人で見て、少し寂しくなってしまったのでしょうか。神奈川の三浦半島やその先の富士山まで見える内房とは違い、外房の「この先には何もない」という感覚に小粒な私はやられてしまったのだと思います。
用事を済ませ、そそくさと千倉の駅に戻り一時間に一本の電車を待っていると、一人のおしゃれなおばさまに声をかけてもらいました。人恋しかった私は、助かったとばかりに電車が来るまでお話させてもらったのですが、その方のお話は最近亡くなった義母のことが中心だったのです。
珍しいことだなと思いました。とてもいいお義母さんだったようで、どれだけお世話になったのかや、どんな趣味を持っていたかなど、自分やその他の家族のことはほとんどしゃべらずに、お義母さんの思い出だけを話されていました。
愛していたんだなと思います。当たり前すぎる話でしょうが、人は好きな人のことを話しますよね。自分の主張をするのが苦手な日本人は特にでしょうか。自分の話より前に、夫がどんな人か、子どもが何を好きか、どこにお友達がいるか。
そういう話し方について、昔はもっと自分自身のことを主張してくれた方があなたのことがわかるのにと思っていました。ただ最近は、そういうその人の周囲に散りばめられている細々とした断片を拾い集めて相手を知るというのも、程よい距離感があっていいなと感じるのです。
ストレートに伝えてくれなくても、読み込めるようになったのかな。単純に主張が強い人に疲れたのかな(笑)。
どちらにせよ、見ず知らずの人にも話してしまうほどの人がいるっていいことだなと、またコトコト電車に揺られ、心落ち着く内房に帰ってきました。