風の図書室の拠点ができて一週間。ぽつぽつと訪れてくれる方が続いています。
図書室といえど蔵書数はまだ30冊ほどで貸し出しもなし。空き家の縁側だけのスペースをどうにかこうにか工夫して本を並べているささやかな空間ですが、不思議と「本と人の話」が成り立っています。
話題の新刊がなくても、圧倒されるような美しい本棚がなくても、人はそこにある数冊の本で他者とつながっていけるのだと知りました。
むしろこの少なさがいいのでしょうか。どれを手に取ろうか迷うことのない陳列。
そこで大切なのは「この本を選んだ見ず知らずの人の想いを想像すること」であり「私が寄贈するとしたらその一冊は?」と自分自身を振り返る時間です。
目に見えないものを想う時、どんな人も少しだけ静かになります。
そんな静けさと、「私が好きな本は…」と語り出した時の個性の発露がたまらなく愛おしい。
風の図書室のコンセプトである「あなたの想いを保存する場所」として、一人一人を大切にする場所でありたいと思います。