『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』というドキュメンタリー映画を見ました。ブラジルにある世界最大規模のごみ処理場において、ごみ拾いで生計を立てる人たちの生活をアートで変えていこうとする現代美術作家ヴィック・ムニーズの挑戦の記録です。
ゴミ問題。
これほど、多くの人が目をそらし続けている問題もなかなかないのではないでしょうか。
私のごみ問題といえば先日、燃えるゴミの収集日を忘れ8時半の収集時間を2時間もすぎているにも関わらず、ワンチャン行けるかと思い、家から徒歩5分の集積場にダメ元で向かったら普通にダメだったという話。そのレベル。
しかしそこで思考停止せずに、決まった曜日時間にちゃんと収集してくれる制度に感謝する一方、海を越えた先にはゴミ山で一日中リサイクルできるものを探す家族があり、本来は美しい土地がどんどんゴミで汚染されていく地球の現状や、じゃあ私は今日からどうするの?というあまりにも小さすぎる問いに誠意ある答えを探そうと努力してみたりと、ありふれたゴミを見るたびに考えがあっちこっちに飛び交っています。
しかし結局のところ、どんな問題でも同じですが自分単位でできることはあれど、ことの全容があまりにも大きすぎると、その一歩は無為なのではないかと思いなかったことにしてしまいます。
でもそれって本当におかしな話。たとえば私の場合は、本が大量に捨てられているという現実に対してとても心を痛めていて、捨てるという本は正直いらなくてもなるべく貰うし、このような図書室までつくって本を改めて価値あるものにしようと活動している。
ゴミ問題につながるとてもとても小さな一歩を臆面もなくしているのです。そういうことって、個人のレベルではかなりあると思います。と考えると、ゴミ問題がなかなか真剣に共有されないのは、「ごみが指す範囲が途方もなく広いから」説があるのではないかと行きついたのです。
なんだってゴミになります。ゴミ=物質 というほど実態がないものだからこそ、みんな自分ごとにせずに済みやすい。それならば、各々が「このゴミは減らす」「これはゴミとしない」「これのリサイクル方法を考える」というような限定的な「好き」をゴミにつなげられたらいいのではないでしょうか。
だからですね、特定の商品を製造したり販売したりしている企業は、コアな消費者に対してもっと商品の使用後の処理まで考えたうえでの魅力を伝えてほしい。特に釣り業界!海と港が悲しいほどに汚いぞ(本当はこれが言いたかっただけな気もする)。
何だかここにきていきなり企業任せな発言・・・。しかし、環境を考えているところの製品を買うというのがもっとも簡単にできることな気がするのです。
そして、風の図書室としてもまだまだやりたいことはあります。この活動をしていると、一冊ではなくて何百冊も貰ってほしいというお話がたびたびあるのです。みんな蔵書の処分には悩んでいます。今はお断りしてしまっていますが、将来的にはその問題もどうにかしたいものです。ちなみにご近所限定ですが、蔵書のお片付けならお手伝いに伺いますよ。
『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』が投げかけるのは、増え続けるゴミ自体の問題に加え、人間の尊厳や現代アートの価値観、ブラジルという国の在り方など。見る人によって多様な視点をもつことができる作品です。10月29日に以下のURLからオンラインでも見ることができますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。この記事がまったく作品について触れていないことがわかるはずです(笑)。
秋のアート映画上映会『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』