稲穂が実る時期になりました。
こう書くとまるで私がお米を作っているようですが、純粋なる田んぼ観察者として日々、人の家の作物を愛でています。
そんなある日、美しく揃った稲穂の群れのちょうど真ん中くらいに、ミステリーサークルができたのです。ある一か所だけ円状に稲穂が無残にも倒れている。
「イノシシにやられたんだ」と瞬時に思いましたが、何だかちょっと奇妙。イノシシなら中央の一か所だけを踏み荒らしたにしても、田んぼへの入り口と出口になった場所も踏み荒らされているはず。
そもそもイノシシって畑だけじゃなくて、田んぼもやっちゃうの?と。これまで人づてに聞いていたイノシシ被害に対して、初めて心からの怒りが沸いたのです(まるで自分の田んぼ)。
しかしよくよく見てみると、その倒れた稲穂でできた円は本当にきれいな丸で、その場所以外の稲穂はしっかりと立っているのです。
こんなことができるのは空からの侵略者、UFOしかいない・・・・・。
ナスカの地上絵が頭によぎり、移住そうそう何という現場に立ち会ってしまったのだと静かに戦慄しました。
誰かに伝えたい!でも誰もいない!!
しばらく呆然と佇む私の元に、一人のおじさんが通りかかりました。
いてもたってもいられず、「あれ、イノシシがやったんですか?」と、食いぎみに聞いた私におじさんは一言、「肥料のやりすぎだ。稲穂が重くなりすぎて茎の部分が折れたんだ」と教えてくれたのです。
「じ、じぶんの重さで・・・・」
イノシシよりUFOよりショック。推理力のある人なら、田んぼの知識がない人でも導き出せた答えに、己の地頭の悪さを実感しつつ、何かもっと大きな真理を垣間見たような気もしました。
またそれから、同じような現象をいろんな所の田んぼで見るようになり、これがメジャーな現象だということもわかりました。
栄養過多で自滅
稲穂も人も同じなのですね。適切に育ててくれる人の元に生まれるかどうかは運でしかないけれど、もちろん台風やいじめなど外部からの要因で崩れる時もあるけれど、なるべく自滅はしたくないと心から思いました。
ましてや、稲穂ではなく自分のことを自分で選択できる大人なればこそです。